自分自身が入院したくなる病院にしよう

 2002年8月1日、私は日野病院に院長として赴任いたしました.それまで横浜とは縁もゆかりもありませんでした.

 暑い日でした.

 その日の朝集まって貰ったスタッフに,私は「今,もし自分の家族や,自分自身が精神科の病院に入院しなければならなかったとしたら,日野病院を選びますか」と問いかけました.戸惑いと沈黙,微かな失笑が答えでした.そこにあったのは「自分や家族が精神科に入院するはずはない」という根拠の無い思い込みと,「こんな病院に誰が入院したいか」という自虐でした.

 それから20年.

 「自分自身が入院したくなる病院にしよう」.

 私はことあるごとに言い続けました.でも強い雨が降れば天井から水が滴り,寝返りを打てば隣の人と目があう.こんな病院に誰が入院したいでしょう.それでも患者さんたちは辛抱してくれました.スタッフは昭和スタイルのおんぼろ病棟で懸命に努力してきました.

 そして今日.

 支えて下さった地域のみなさまへの感謝と誇りを込め,名前を横浜日野病院と改め,やっとスタートラインに立ちました.

 本当にありがとうございました.そしてこれからもよろしくお願いいたします.

横浜日野病院  

院長 馬場 淳臣

2023年02月07日